戦国期竹簡隷法篆書

 


 戦国期の竹簡に波たくに近い横画が認められる。左下は、湖南省長沙近郊の古墓から発見された竹簡。副葬品の目録で品名と数量が書かれている。なお、戦国期の竹簡にもう少しわかりやすく隷意が現れているものもある。

 竹簡を作り書いてみた。手に持って書くと気楽に書け、横にまっすぐな線が書きやすい。起筆は楷書と隷書の間を書くような感じで逆筆で入ると筆の弾力を利用して横画を快調に書ける。自ずと隷書の線が現れる。

 竹簡ではわかるように示せないため、紙に同じ筆法で書いたのが次。 実験の様子そのままである。用意がよすぎる? 竹は真横に切断することの専門家である。任せておいて間違いがない。

 少し右上に線を引くと、自然に終筆が紙と同じように形となる。神旨を絹に書くと楷書の筆法、竹に品目などを書くと隷書の筆法が現れる。この竹簡に書かれた文字を定義するならば、隷書の筆法を含む篆書ということで隷篆書もよい。

 学問もなかなか難しい。言葉を作ってゆかないと先に進みにくい。しかし、言葉を作る際に無視したものにフタをされると手の感覚と合わない場合があり困る。竹が好きなのでこの文字を竹篆(ちくてん)文字と名付けた。座りがよい。手=創造的。

 この実験で言えることは、筆法は、視覚からではなく皮膚感覚つまり筆から返る力を感じることから生まれる。筆が返す力を発生させるためにコツはあるが、どちらにどのように筆が進みたいのかを感じることだ。そしてそのように筆が進むように手指で妨げないことである。水が高いところから低いところに流れるように。

2012.01.07

楚簡


湖南省長沙近郊古墓出土


戦国期



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