文房四宝 |
2007 研賜 |
|
書における文房四宝は、紙、筆、墨そして硯のことをいう。この他に、水滴、筆硯、筆置き、墨置き、文鎮、筆洗などが必要だ。 しかし、最近、感じることであるが、古典書法は、自然のカミ、つまり森につながってゆく。 森とつながりをもって、書に取り組む場合、書に使用する道具は、文房具というよりは、自然の力を感じ自然と交感するための道具。 書は、水遊び。水を祭る必要がある。 特別な日に使用するのであるが、 歴史を探すと、12世紀、高麗時代、枯れた青磁に水を祭るための瓶が存在する。梅瓶である。 そして、水滴に水を注ぐためには、これも枯れた青磁の水注でおこなう。水注へは、梅瓶から水を移す。 筆洗は、天目の焼き物がよい。濁った水をそれとなく受け止める。 硯は、黒がよい。下りが早いもの。墨の濃度を、容易にそして微妙に調整できるものが必要である。 命の糧をえるために、殺生をするように、水から力を得るために、水を濁す。と同時に、墨は、水を集め、紙の上に水の神髄を残す。 墨は、粘りけのないものを選ぶ。水の本質を変えないことである。水の精を集めても、さらりとしたものがよい。本質は水遊び。 擦った墨は、筆硯の墨溜まりに注ぐ。筆硯は、自然石。悠久の時をとどめ、墨に、筆先に時の力を与えるように返す。 墨を、筆に含ませて、筆硯で筆先を整え、そして、竹から作った毛辺紙に向かう。足で歩くように、指を動かして、水への感謝の跡を記す。人が人であることの意味が自ずと現れては消える。
2008.01.04 |
|
|
|
|