文房四宝 |
2008 研賜 |
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書における文房四宝は、紙、筆、墨そして硯のことをいう。この他に、水滴、筆硯、筆置き、墨置き、文鎮、筆洗などが必要だ。 筆者は、書をしているのか、書の道具を探しているのかときどき分からなくなる。道具選びに膨大なエネルギーを費やしてきた。 最近、腑におちるというか、納得できる、おそらく、もう他のものを探さなくともよいのではと思える道具がぼちぼちと手元にやってきてくれている。 竹を利用して自分で作ったものもある。筆置きはずいぶん前であるが、水滴は最近考えて作った。直感的に水の量を加減できるので楽である。 硯は、乳白色の陶製の円面硯である。これは、特別である。空海伝説の神護寺近くの土が入っている。しかも、筆者の墨の擦り方を想像して作られている。墨の濃度を微妙に調整できる。擦った後は、硯を傾けて置き、内側、一方の端の方に墨をためて使っている。 竹製の水滴は、水を祭っていることにもなる。 これは、半年程前に、気づいたことであるが、古典書法は、自然のカミ、つまり森につながってゆく。 森とつながりをもって、書に取り組む場合、書に使用する道具は、文房具というよりは、自然の力を感じ自然と交感するための道具。書は、水遊び。水を祭る必要がある。 そして祭った水を使って墨をする乳白色の硯は、神具にも見える。 墨は、粘りけのないものを選ぶ。水の本質を変えないことである。墨の精を集めても、さらりとしたものがよい。本質は水遊び。 そうそう、筆洗は、天目の焼き物がよい。濁った水をそれとなく受け止める。 墨を、筆に含ませて、竹から作った毛辺紙に向かう。足で歩くように、指を動かして、水への感謝の跡を記す。人が人であることの意味が自ずと現れては消える。
2008.05.03 |
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